展示内容は、完成品は少なく、試作を中心とした内容で、完成品に至るワイエスの制作の様子がかいま見れ、興味深かった。
何気ない土の大地の絵をじっと見ていると、ワイエスの凄さが徐々に伝わってくる。
絵画には、たんに濃い茶色の土しか描かれていないのだが、見るものには、そこに、もっと大きなものが隠されているのがわかる。
それが何なのか、はっきりということは私にはできない。自然の神秘、神の気配、個人の奥底にある記憶・・・、人によってそれは違うのかもしれないが、確実に、表面には現れていない何かが、そこには感じられるのだ。
ずいぶんと前に、彼のクリスティーナを描いた作品を中心にした展示会に行ったことを思い出した。
そこには、一人の女性を丹念に描いているにもかかわらず、男性にとっての、女性という存在の神秘、あるいは、人間という存在の美しさ、悲しさ、儚さがあった。
この画家には、物事を単に表面的なものではなく、その本質まで見透かせる目と、それをキャンバスに正確に表現できる技術の双方が備わっている。
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